海外とは価格で勝負できない現実

組み込みエンジニアの将来性を考える

将来的にはプログラマが今よりも不足するようになると言われているので、その点だけを見れば日本人プログラマの仕事は増えることになり、組み込みエンジニアの将来は安泰のようにも思えます。しかし、組み込みエンジニアを取り巻く環境をよく考えてみると、そう単純に考えることができない現実も垣間見えるので、このまま組み込みエンジニアを続けていくことのリスクの方がむしろ気になってしまい、今のうちの転職を考えたくなるかもしれません。

日本は海外に価格で勝てない

日本の組み込みエンジニアの賃金をアメリカのエンジニアと比較するとかなりの違いがあることがわかります。
アメリカの場合、優秀なエンジニアはどんどんキャリアアップして多くの賃金を得ています。日本ではサービス残業という悪しき習慣から抜け出せないエンジニアがまだまだ多く、実質的にはかなりの時間働いているにもかかわらず、それに対して適正な賃金を得られているとは言いがたい状況です。サービス残業の是正を進める動きは前より目立つようになりましたが、改善とは程遠い現状がたくさんあることは周知の事実でもあります。
将来的に日本のプログラマが少なくなるならば、そこまでなんとか持ちこたえれば仕事は増えると思い、現状は我慢して乗り切ろうという考えもありますが、その頃までには賃金の安い途上国のエンジニアのレベルがかなり高くなっていることも考慮に入れておく必要があります。やがてサービス残業の件が解決し、労働量に対して適正な賃金が支払われるようになったとしても、安い賃金でハイレベルな海外の組み込みエンジニアを確保できるなら、需要はそちらへとシフトするというのは十分に考えられることです。
日本の場合、海外と技術面で競争できたとしても、価格面の競争は全くと言ってもいいほど歯が立ちません。もちろん日本のエンジニアの良さもたくさんあるので、全ての需要が海外へと流れてしまうことは考えられませんが、将来エンジニアが不足するからといって仕事が溢れるような状況にはならないと考えた方が現実的かもしれません。

日本のエンジニアが海外に勝つためには

組み込みエンジニアが海外のエンジニアと競争しようと思ったら、価格面ではまず勝つことは難しいでしょう。そうすると、勝負できるのは技術面ということになります。同業種が並べば意識するものですが、その相手は国内ではなく海外に多くいるということを忘れずにいることが大切です。コストをかけてでも欲しい技術力があれば、ライバルが海外でも十分勝てる公算はありますが、中途半端な状態で組み込みエンジニアの仕事を続けるなら、将来困ることになる可能性もあるのです。